略称「パワハラ」。「パワー=権力」という意味から日本でつくられた和製英語ですが、会社などで地位や権力を利用した上司が、部下など立場の弱い人間を精神的にいためつける手段です。つまり、まさしく僕がこの被害者であるわけです。

パワハラはたいてい、一回きりではなく継続的に行なわれます。そりゃそうですよね、向こうは部下を追い込もうとしているわけですから、一回きりじゃ追い込まれるわけがない。前のページでお話した僕の例のように、ときに人格的な問題や育った環境までを引き合いに出しながら、ネチネチと追い込むわけです。

僕はどちらかといえば精神的に強い方だと自負していますが、そうはいってもこれはキツいんですよ。なにしろ毎日、顔を見ればなにかいわれるわけですから、無意識のうちに警戒心が敏感になってしまうんです。もちろん労働意欲も萎えますし、「いつ辞めるんだよ、早くしろよ」なんてことをいわれるわけですから「本当に辞めなくちゃならないのかな?」と生活の不安ものしかかってきます。

そしてもうひとつ、むしろこっちの方が問題なのですが、恐ろしいのは伝搬力です。なにしろ上司は権力を握っていますから、少なくとも彼の傘下にいる人間には理不尽さを感じても逆らえないという弱みがあります。だから結果的に、いじめられている人に悪意を持っていなかったとしても、上司の判断に従わざるを得なくなるんですね。ですから、ふと周囲を見渡してみれば同僚も上司も、ほとんどの人からパワハラを受けるという結果になってしまうのです。

僕の場合は上司の性格に問題があったわけですが、会社そのものに問題がある場合も少なくありません。たとえば社長がワンマンだったり、“社員なんか使い捨てだよ”みたいな社風だったり、社員教育が徹底されていなかったり、あるいは、行きすぎた能力主義や成果主義だったり。

個人的には、なかでも成果主義の弊害は大きいのではないかと思いますね。



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